大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(う)1947号 判決

被告人 小川忠三

〔抄 録〕

所論は原判決は戸貝清が所在不明であるとして同人の検察官に対する供述調書を刑事訴訟法第三二一条第一項第二号により証拠に採用したが、検察官は戸貝の母親から戸貝は甲府の方へ行つているとの連絡を受けたにもかかわらず、その方面及びその後の転居先につき十分捜査もしていないのであるから、にわかに所在不明であるとはいえず、結局右供述調書は証拠能力を欠くものでありこれを証拠とした原判決は不当であるというのである。

よつて案ずるに司法警察員竹田末司作成の昭和三六年四月一〇日付、司法警察員今泉清作成の同年六月二七日付各所在捜査報告書によれば、戸貝清は実母しげに対し山梨県方面へ働きに行くといつて昭和三五年一〇月頃出かけたまま帰らず、昭和三六年一、二月頃同県塩山市から手紙をよこし九州方面へ働きに行くと知らせたままその後の所在を知らせず、捜査当局において同人の近隣または友達関係について立廻りの有無の聞き込み等をしたが所在不明であることが認められる。右の次第であるから戸貝清に対してはその所在を追求しようにもこれ以上手の施しようはないものというべく、原判決が戸貝清は所在不明であるとして刑事訴訟法第三二一条第一項第二号により同人の検察官に対する供述調書に証拠能力を付与したのは正当である。

(長谷川 白河 関)

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